前回の振り返り
前回の記事では、西宮で開業する鈴木歯科(院長・鈴木規之先生)への取り組みを紹介しました。
「削らない、抜かない」という治療方針を持ちながら、それを言葉にする機会がなかった院長の思想を、インタビューと対話を通じて引き出し、Webコンテンツとして構造化するプロセスです。その結果として生まれたのが「引き算の治療哲学」「オリジナルへの回帰」「シンクロナイズ」という3つの概念でした。
言語化の先に問うべきこと
思想を言語化したとき、私たちが次に問うのはひとつです。
「その言葉は、AIに届いているか」
現在、専門家を探す人の一部はすでに、GoogleではなくAI検索(ChatGPT、Perplexity、Geminiなど)に問い合わせを始めています。「このエリアでこだわりのある歯科医を教えてほしい」「独自の治療哲学を持つ先生はいますか」——そうした問いへの回答に、あなたの名前が含まれているかどうか。これがExpressoが追いかけている指標です。
検証方法
言語化から約1ヶ月後(初回計測から3ヶ月後)、複数のAIエンジンに対して定点観測を実施しました。質問の軸は「医院認識」「比較・推薦」「思想参照」「媒体参照」の4カテゴリ。同じ設計で繰り返すことで、変化を数値ではなく質として捉えます。
確認できた変化
「独自の治療哲学を持つ歯科医」という問いに、名前が登場するようになった
言語化前には確認できなかった変化です。2026年6月の検証で、複数のAIエンジンが「独自の治療哲学を持つ歯科医」を問われたとき、鈴木歯科を名指しで挙げるようになりました。
Perplexity(2026年6月1日実施)
「診療哲学として『良い治療とは全ての治療から悪い治療を引いたもの』と説明し、削らない・抜かないを基本に、その人本来の噛み合わせへ戻すことを目指すと明記しています」
参照元:j-dentistsuzuki.com/philosophy
Gemini(2026年6月1日実施)
「削らない、抜かない。あなたの歯の30年先を見据えた噛み合わせの哲学を診療哲学として掲げています。引き算の治療哲学を大切にし、『良い治療とは、全ての治療から悪い治療を引いたものである』という考え方に基づいています」
いずれも、インタビューで言語化した言葉を公式サイトから直接参照した回答です。
「治療の考え方・理念」への回答精度が上がった
2026年3月の検証では、「治療の考え方を教えてください」という問いに対して、一部のAIエンジンが別の医院の情報を混入して回答するケースが確認されていました。
2026年6月の検証では、この誤認識が解消され、鈴木歯科の思想を正確に参照した回答が得られるようになりました。
Perplexity(2026年6月1日実施)
「鈴木歯科は『できるだけ削らない・抜かない』ことと、『その人本来のかみ合わせに戻すこと』を軸にした治療方針を掲げています。『良い治療とは全ての治療から悪い治療を引いたもの』という考え方を採用している」
参照元:j-dentistsuzuki.com/philosophy
Gemini(2026年6月1日実施)
「引き算の治療哲学」「30年の視点」「その人のオリジナルへの回帰」「ミニマル・インターベンションの徹底」「患者との対話の重視」といった複数の概念を整理して回答。
現時点の課題
「このエリアでおすすめの歯科医院を教えてください」という汎用的な推薦クエリでは、まだ鈴木歯科は上位に現れません。口コミ件数や評価点数の高い医院が優先される傾向があり、「思想の言語化」だけでは届かない領域があることも、率直にお伝えします。
また、AIエンジンによって認識の精度に差があります。公式サイトを直接参照しているエンジンは精度が高く、そうでないエンジンでは同定が不安定なケースも見られました。一度の施策で全エンジンに均等に届くわけではなく、定点観測を続けながら実態を把握することが重要だと考えています。
言語化は、AI認識の入口だった
この検証で確認できたのは、「思想の言語化」がAI参照の必要条件であるということです。
言葉がなければ、引用されない。コンセプトがなければ、認識されない。
逆に言えば、独自の言葉を持ち、それをWebに実装した専門家は、AI検索という新しい経路において「候補に入る」状態を作ることができます。鈴木歯科の取り組みはまだ途中ですが、言語化がAI認識の入口として機能することは、この検証で確認できました。
あなたの診療哲学も、言語化できます
専門家としての思想は、すでにあなたの中にあります。必要なのは、それを引き出し、構造化し、世界に公開することです。
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