矯正歯科はどう選べばいい?──「どこがいいですか」に答えがひとつではない理由

「良い矯正歯科はどこ?」

これは、矯正治療を考えたことのある人であれば一度は考えたことのある問いだと思います。一生に一度の治療ですから、慎重に選びたいと考えるのは、とても自然なことでしょう。

ですが現役矯正歯科医師の三川 翔(みかわ しょう)氏は、これを「とても答えるのが難しい質問だ」と言います。理由はシンプルで、「正解がひとつではないから」です。

本書、『神戸の矯正歯科医が語る、静かな本音。』では約20年間、矯正歯科治療の現場を経験してきた三川氏が、その理由を様々な角度から綴っています。

この記事では、その一部の考え方をご紹介いたします。

矯正歯科選びは、家選びに似ている

三川氏はこの質問に、こう答えています。

矯正歯科選びは、家選びに似ている。

これは一体どういう意味なのでしょうか?

新しい家を探すとき、とにかくキッチンのコンロが三つほしい! と考えられる方もいれば、キッチンはこだわらないけれど、車が二台置ける場所を望む方もいらっしゃいます。

広い庭を希望される方もいれば、とにかく駅近物件が良い方だったり、防犯対策が万全な家を最優先とする方もいらっしゃいます。

それぞれのご家庭によって理想の家が異なるように、あなたにとって(あるいはあなたのお子さんにとって)理想の矯正歯科は、あなたにとっての正解であって、他のご家族にとっても正解であるとは限らないのです。

確かに私たちは「評判の良い誰にとっても一番良い先生やクリニック」を求めがちですが、矯正歯科医の立場からすると異なる視点を持った方が良い選択に繋がりやすいようです。

初診の矯正相談で確認したいこと

とはいえ、いきなり「自分の軸」と言われても難しいものです。そこで、初診の矯正相談に行ったときに確認したいポイントを、三川氏の視点をもとにいくつか挙げてみます。

1. 院長が「自分の言葉」で治療方針を話してくれるか

費用の説明が中心で、あとは「一般的な矯正とはこういうものです」というマニュアル的な説明で終わるのか。それとも、院長(または担当医師)があなたの口の中を見た上で「あなたの状態はこうで、治療するならこういう選択肢があります。どうしたいですか?」と、あなたに向けた話が始まるのか。こういった点でも各医院の姿勢が表れるそうです。

2. 担当医が変わらないか(お子さんの場合)

子どもの矯正は数年にわたることが多く、担当医が途中で変わると治療計画が見直されることがあります。子どもは環境の変化に敏感なこともあり、担当が変わることが負担になる場合もあります。最初から最後まで同じ先生に診てもらえるかが気になるなら、相談時に聞いてみるとよいでしょう。

3. どんな装置を使うのか、なぜそれが適切なのか

矯正装置には多くの種類があります。希望する装置があるなら聞いてみるとよいですが、その装置に固執することは自らの選択肢を狭めてしまう可能性もあります。経験豊富な歯科医師ほど、目の前の患者に適した装置を判断できるからです。「なぜその装置なのか」の説明を聞き、納得してから始めるのがよいでしょう。

「治療スタイル」を知っておくと、選びやすくなる

もうひとつ、選ぶ前に知っておくと役立つのが、矯正歯科医の治療スタイルの違いです。三川氏は治療スタイルを大きく三つに分けて説明しています。この三分類を知っておくと、「自分はどのスタイルの医院が合うのか」を考える手がかりになります。

詳しくは、矯正歯科の三つの治療スタイル──職人家具・オーダー家具・既製品、あなたに合うのは?で紹介しています。


ここで紹介した考え方は、矯正歯科医・三川 翔の著書『神戸の矯正歯科医が語る、静かな本音。』で語られているものの一部です。矯正歯科治療の目的、治療期間の本当の意味、子どもの矯正のタイミングなど、「自分で判断するための材料」がまとめられています。

三川 翔氏の治療哲学については、専門家ページもあわせてご覧ください。

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執筆者

専門家が持つ思想・判断基準・暗黙知を、書籍・白書・構造化コンテンツとして一次情報資産に変換する事業「Expresso(エクスプレッソ)」を運営。
医療・士業をはじめとする規制業種の専門家を対象に、思想の構造化からKindle出版・白書制作・AI参照固定・プレスリリース配信までを一貫して設計・実行している。
「本物が、正しく選ばれる社会へ。」をミッションに、専門知を社会に残る知的資産として構築することを専門とする。