「子どもの歯ならびが気になるけれど、矯正の相談にはまだ早いのでは?」
まだ乳歯が残っていたり、同じ年頃の子が治療をしていなかったりすると、いつ相談すればよいのか迷うことがあります。相談に行けば、そのまま治療を始めることになるのだろうか。そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
矯正歯科医・三川 翔(みかわ しょう)氏の白書『子どもの矯正、親が後悔しないために』では、歯ならびが気になった時点で相談し、治療を始める時期は矯正歯科医が状態を見て判断するという考え方が示されています。
この記事では、白書の第1章「矯正を始めるタイミング」をもとに、相談する時期と治療を始める時期を分けて考えるためのポイントをご紹介します。
01相談の時点で、治療を始めると決まるわけではない
三川氏は白書で、開始時期は矯正歯科医が判断するため、相談にはまだ早いのではないかと遠慮する必要はないと説明しています。
白書には、相談して「まだ早いね」となれば、半年後に再確認するという例も挙げられています。
つまり、相談した結果として、その後の成長や歯の状態を確認していくこともあるのです。相談の時期と、実際に装置を使うなどして治療を始める時期は、必ずしも同じではありません。
三川氏が避けたいと述べているのは、治療で介入できる時期を過ぎてから相談を受けることです。治療を始めるべきかどうかは、相談してから医師に判断してもらえばよいのです。
気になることを伝えるのが保護者の役割であり、その時点の状態から開始時期を判断するのが矯正歯科医の役割。 このように分けると、「相談してよいかどうか」まで家庭で決めようとしなくてよいことが分かります。
02「何歳から?」の目安は、歯ならびの状態によって違う
白書では、相談や治療のタイミングを考える目安として、歯ならびの状態ごとに異なる年齢が示されています。
受け口については、3歳ごろからの対応に言及
下の歯が上の歯より前に出ている「受け口」について、三川氏は、3歳ごろから治療を始めると改善できる場合があると説明しています。
ここで押さえたいのは、乳歯の時期にも対応を検討する場合があるという点です。「永久歯に生え変わってから考えればよい」と、すべての歯ならびを同じように扱ってはいないのです。
もちろん、白書の記述は、受け口なら全員が3歳で治療を始めるという意味ではありません。その子にとって適した時期を判断するには、個別の状態を確認する必要があります。
ガタガタ・すきっ歯・出っ歯などは、6歳前後がひとつの目安
それ以外の歯ならびについては、永久歯が生え始める6歳前後を目安として挙げています。ただし、三川氏は白書で「6歳で必ず」とはしていません。
年齢の数字だけを見れば、「6歳になったら始める」「6歳までは待つ」と受け取りたくなるかもしれません。ですが、この章では、気になった時点で相談し、必要に応じて後から再確認することまで含めて説明されています。
年齢は考える手がかりにはなりますが、それだけで治療開始を決める基準にはならない、ということです。
03「小学校3年生(9歳)ごろまで」は、何の目安なのか
第1章には、子どもの矯正を始めるのに適した時期として、小学校3年生(9歳)ごろまでという目安も示されています。
これは、続く第2章で三川氏が説明する、子どもの矯正を「成長のサポート」と捉える考え方につながっています。その背景まで読むことで、この年齢が何を指しているのかを理解しやすくなります。
「9歳を過ぎたら矯正治療はできない」という期限として受け取らないことが大切です。 三川氏が子どもの矯正で重視する成長と治療の関係については、第2章「子どもの矯正と大人の矯正の違い」で説明されています。
04治療期間も、数字だけでは決まらない
始める時期とあわせて気になるのが、「何年で終わるのか」ということではないでしょうか。
三川氏は、骨格や生活習慣、成長の違いによって、治療期間が年単位で前後することがあると説明しています。そのうえで、治療を終える時期について、次のように述べています。
大切なのは、期間そのものよりも「歯の状態が治療の完成に達しているかどうか」です。
この説明からは、早く相談することを、そのまま「早く治療が終わる」という約束にはできないことも分かります。相談によって確認するのは、その子に適した開始時期や、その後の見通しです。
治療期間の目安を聞くときに、どのような状態を目指すのかも確認できれば、保護者と医師が治療の終わり方について話し合いやすくなるでしょう。
05相談するときに、確認したい三つのこと
ここまでの内容を踏まえ、相談時に確認することをExpressoの視点で整理すると、次の三つになります。
- 今の歯ならびは、治療を始めることを検討する状態なのか。
- 今すぐ始めない場合は、次にいつ状態を確認すればよいのか。
- 治療を始める場合は、何を目標にし、どのような状態になったら終了と判断するのか。
「何歳から」「何年間」という数字に加えて、今の状態と、次に判断するタイミングを知ること。それが、第1章から読み取れる、子どもの矯正を考えるための手がかりです。
この記事は、三川 翔氏の白書『子どもの矯正、親が後悔しないために』第1章「矯正を始めるタイミング」をもとに、発行元のExpressoが解説したものです。白書はWebで全文を読むことができます。書誌情報と全体の概要は白書紹介ページに掲載しています。
相談先を選ぶ際の考え方は、「矯正歯科はどう選べばいい?──『どこがいいですか』に答えがひとつではない理由」で紹介しています。三川氏の経歴や治療哲学については、専門家ページもあわせてご覧ください。
※本文中の年齢は、三川氏が白書で示した目安です。この記事は個別の診断や治療方針を示すものではありません。お子さんの状態に応じた判断は、矯正歯科を専門とする歯科医師にご確認ください。

