事例解説

子どもの矯正と大人の矯正は何が違う?──矯正歯科医・三川 翔の白書より

子どもの矯正を、歯を並べる「工事」ではなく「成長のサポート」と捉える三川翔氏。その言葉が何を意味し、どこからが本人の見解なのかを、白書第2章から読み解きます。

専門家三川 翔(矯正歯科医)公開日 2026年10月1日更新日 2026年9月29日
CONTENTS
  1. 01歯を並べる土台にも目を向ける
  2. 02三川氏が言う「成長のサポート」とは
  3. 03遺伝と習慣を、どう分けて考えているのか
  4. 04成長期に目を向ける理由

子どもの矯正と大人の矯正。どちらも歯ならびやかみ合わせに向き合う治療ですが、何が違うのでしょうか。

矯正歯科医・三川 翔(みかわ しょう)氏は、白書『子どもの矯正、親が後悔しないために』の第2章「子どもの矯正と大人の矯正の違い」で、子どもには成長という要素があることに注目しています。そして、子どもの矯正を「成長のサポート」と捉える自身の考え方を説明しています。成長期には成長を治療計画に含められますが、成長が終われば同じ選択肢を前提にはできない、というのが三川氏の説明です。

この言葉だけでは、どんな治療を指すのか、分かりにくいかもしれません。第2章で三川氏が何を大切にしているのか、順に見ていきます。

01歯を並べる土台にも目を向ける

歯ならびがガタガタしていると、並びから外れた歯そのものに目が向きます。三川氏は第2章で、歯の大きさと、歯が並ぶあごのスペースの関係にも目を向けています。

白書に登場するのは、私たち一般人でもイメージしやすい電車の7人掛けの座席という例えです。座る人の数に対して座席の幅が足りなければ、全員がきれいに収まることはできません。歯ならびも、歯とあごのスペースのバランスから考えると理解しやすい、という説明です。

三川氏が子どもの矯正で重視するのは、見えている歯だけでなく、成長の途中にあるあごや、日々の習慣にも目を向けることです。この視点が、大人の矯正との違いを考える出発点になります。

02三川氏が言う「成長のサポート」とは

第2章で三川氏は、子どもの矯正を、歯を無理に並べる「工事」と捉える見方ではなく、子どもの成長を妨げる要因に目を向け、その子が持つ成長を支えるという考え方です。

身長を例にすると、親から受け継ぐ要素は変えられません。一方で、睡眠や栄養など、成長を支える環境には目を向けられます。三川氏は白書の中で、このイメージをあごの成長と矯正治療の説明に使っています。

ただし、これは三川氏が子どもの矯正をどう捉えるかを示した治療哲学です。子どもの矯正がすべて同じ方法で行われるという意味ではありません。三川氏自身も、この考え方について矯正歯科医の間で見解が分かれると断っています。

03遺伝と習慣を、どう分けて考えているのか

三川氏は、歯ならびを考える際に「遺伝」と「習慣」を分けて説明しています。骨格など親から受け継ぐ要素がある一方、口呼吸や舌の位置、日々の癖といった習慣にも着目する、という整理です。

とくに舌の位置とあごの成長の関係について、白書は一つの考え方を紹介しています。ただし、本文には「諸説あり」と明記されています。ここを確立した唯一の原因や、すべての子どもに当てはまる説明として受け取らないことが大切です。

「習慣」という言葉が出てくると、歯ならびは家庭での育て方次第なのかと感じるかもしれません。白書は遺伝の要素にも触れています。個々の歯ならびの理由や、どの習慣を見直すべきかは、本人の状態を見ずに決められるものではありません。

04成長期に目を向ける理由

白書の第1章で、三川氏は子どもの矯正を始める時期の目安として「小学校3年生(9歳)ごろまで」に言及しています。第2章では、その背景にある成長への考え方を説明しています。

成長を利用する治療を考えるなら、子どもが今どの段階にいるかが関わります。そのため三川氏は、気になることがあれば、治療を始める時期を家庭だけで決めずに相談するよう勧めています。

一方、「小学校3年生(9歳)ごろまで」を過ぎると矯正ができない、という意味ではありません。 この数字は、三川氏が白書で述べる子どもの矯正と成長の関係を踏まえた上での目安です。相談する時期と治療を始める時期の違いについては、白書の第1章「矯正を始めるタイミング」で説明されています。

保護者があごの状態や治療方法を自分で評価する必要はありません。第2章で三川氏が伝えているのは、子どもの矯正を考える際には、成長という時間の要素も関わるということです。白書は、その考え方を三川氏本人の言葉で確かめられる資料になっています。


この記事は、三川 翔氏の白書『子どもの矯正、親が後悔しないために』第2章「子どもの矯正と大人の矯正の違い」をもとに、発行元のExpressoが解説したものです。白書の全文と各章はWeb上で読むことができます。三川氏の経歴や治療哲学については、専門家ページをご覧ください。

※この記事は三川氏の白書に記された見解を紹介するもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。治療の必要性や時期は、お子さんの状態を踏まえて矯正歯科医に確認してください。

この記事の専門家

三川 翔

三川 翔

矯正歯科医|三川矯正歯科 院長

医師と患者という関係の前に、人と人であるということを大切にしています。
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この記事で取り上げた著作物

子どもの矯正、親が後悔しないためにの表紙

WHITE PAPER / 白書

子どもの矯正、親が後悔しないために

始める前に知っておきたい ―タイミング・医院選び・治療の続け方

2026年9月 エクスプレッソ・パブリッシング

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執筆・発行:Expresso(エクスプレッソ) / 公開日:2026年10月1日