子どもの矯正歯科を探すとき、通いやすさや費用は比較しやすい項目です。一方、治療を誰が担当し、その人とどのくらい話せるかは、相談してみないと分からないことがあります。
矯正歯科医・三川 翔(みかわ しょう)氏は、白書『子どもの矯正、親が後悔しないために』の第3章「医院選びのヒント」で、治療途中に担当医が変わる可能性を、医院選びの際に確かめておきたい点として挙げています。この記事では、その理由を子ども、保護者、引き継ぐ矯正歯科医の三者から読み解きます。
01担当医の交代は、子どもには「慣れた人が変わる」こと
三川氏がまず目を向けるのは、子どもの気持ちです。治療に通ううちに、子どもは担当医の話し方や診療室でのやり取りに慣れていきます。その相手が途中で変わると、負担を感じたり、通院への気持ちが変わったりする子もいると、白書は説明しています。
もちろん、どの子も同じ反応を示すわけではありません。ただ、保護者には予定どおりの担当変更に見えても、子どもには慣れた関係の変化として映ることがあります。担当医の継続性は、保護者の安心感だけでなく、子どもの立場からも考えたい点です。
02保護者と次の担当医には、別の不安がある
担当医が変わるとき、保護者が気にするのは「これまでの経緯が伝わっているだろうか」ということでしょう。たとえば、治療方針について以前に交わした相談や、子どもが困っていたことを、新しい担当医に一から説明する必要があるのか。白書は、そうした不安にも触れています。
引き継ぐ矯正歯科医の側にも、前の担当医がどのような考えで判断し、保護者と何を話してきたかを把握する課題があります。検査や治療計画だけでなく、会話を通じて共有してきた事情もあるからです。
これは、担当医が変われば治療がうまくいかなくなるという意味ではありません。白書が勧めているのは、交代の可能性を知らないまま始めるのではなく、医院の体制を先に知っておくことです。
03初回相談で、担当医の体制も確認する
初回相談では、費用や通院のことなど、家庭ごとに確認したいことがあります。その中で担当医の体制についても、難しい専門知識を使わずに尋ねられます。白書は「治療中はどのような体制で診ていただけますか」という質問を挙げています。
初回の相談と治療を担当する人は同じか、治療中に担当医が変わる可能性はあるか。答えを聞いて分からない点があれば、疑問を誰に伝えられるかも確かめられます。必要なことを聞き直し、納得できるまで話せるかどうかも、通い始める前に感じ取れるでしょう。
毎回同じ担当医であることだけが、医院選びの答えではありません。家庭によって優先したいことは違います。大切なのは、どのような体制で診てもらうのかを理解し、子どもと保護者が相談しやすいと感じられるかです。
04既存記事とあわせて考える
白書第3章は、担当医の継続性のほか、治療スタイルや装置の説明、複数の医院を比較することにも触れています。治療スタイルの違いは「矯正歯科の三つの治療スタイル」で、初回相談で確認したいことは「矯正歯科はどう選べばいい?」で詳しく紹介しています。
子どもの矯正については、担当医が誰かという情報に加え、子どもがその人と話せるか、保護者が疑問を伝えられるかを見ていく。三川氏の白書は、医院選びをそのような関係づくりの視点からも考える材料を示しています。
三川氏の経歴と治療への考え方は、専門家ページでも紹介しています。

